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 意味が分からなかった

 限界になって、泣いて、走って。

 そうしたら、いきなり周りの景色がぐるんってなって………、男子の学生服が目の前にあって………。



 それがあの人のだってちょっとしてから分かって、上を見上げる。



「オレの答えは無視か?」

 不機嫌そうに答えるあの人、顔が少し赤い。

「そ、そういうわけじゃ………」

 実際告白しちゃったら、頭が真っ白になっちゃって………

 でも、答えは聞かなくてもわかるよ………

「シンちゃんはわたしなん―――」

「オレもつかさが好きだ」



 …………



 お姉ちゃんの金魚みたいに口をパクパクさせるわたし………、って



「ふぇえぇぇえぇぇ!? うそ!? うそ!? うそー!?」

「なんでここで嘘付くんだよ!? こんなにしてるのに分からないのかよ!?」

「あっ………」

 そういえば…抱きしめられ方が違う。

 何回かあの人に抱きしめられたけど、その時とは違う。

 いつもよりも強くて、暖かくて、気持ちよく抱きしめられてる。

「うん! わかる、わかるよ!!」

 何回も頷くわたし

 満足そうに笑うあの人



「ずっとオレと一緒にいてくれ。

 お前の笑顔をオレに守らせてくれないか?」

 抱きしめたまま、耳元でささやくあの人。

 そんなこと、言われたら、む、む、胸が爆発しちゃうよ〜



「ダメか?」

 覗き込んでくるあの人。

 だ、だめじゃない! 全然だめじゃないよ!

 でも………言葉がでない。そんなに顔近付けられたら、なにも言えないよ〜

 だから変わりに、こくんこくんと頷くわたし。

「それじゃ、ダメって言ってるんだけどな?」

「――!」

 慌てて首を振るわたし。

 あの人はそんなわたしを見て笑ってる。

 あ〜からかってる〜!

 でも確かに首振ってるだけじゃ弱いよね………

 よ〜し、も、もう一回だけ、ゆ、勇気を出して!



「……シンちゃん、こ、これが、証拠です…ど、どうぞ………」

 わたしはなんとかそれだけ言うと目を瞑る。



 鈍いあの人には伝わらないかも



 そう思ったのは一瞬だった。



 すぐにわたしのくちびるになにかがふれる



 目を開けたい



 きっとそこにはわたしの想像してた以上のものがあるから、でも開けたら、きっとわたしは嬉しさでどうにかなっちゃう



 だからもう少し、このまま



 あの人のくちびるが離れるまで





 大好きだよ、シンちゃん











〜 E n d 〜   






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