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「……双子って知らなかったのか?」
「先生が前からおしゃってたじゃない?」
「え、え〜と、子供が出来たと分かって………」
「舞い上がって聞いてなかったと」
俺とみきさんの呆れが混じった言葉にこくんと頷くつかさ。
そしてつかさは一転していつもみたいにおろおろしだした。
「ど、ど、ど、どうしようーシンちゃん、私一人分しか名前考えてなかったよ〜」
「な―――」
思わず驚愕の声が出そうになるのをなんとか堪える。
落ち着け、COOLになれ! この程度のボケはつかさと生活してるんだから慣れっこのはずだ!
「な、なーに、ま、任せろ! 俺が飛びっきりいい名前を付けてやる!」
「ほんと!?」
「ああ、ちょっと待てよ………」
俺は必死になってまるで考えていなかった名前を考え始める。
こういう時に浮かんでくるのが『こなた』、『かがみ』、『みゆき』や『るな』、『すてら』だもんな〜
もし言ったら今のテンパってるつかさだと泣きながら、離婚だとか言い出しかねないし………
片方が『みこと』だったらやっぱり神社系統の方がバランスがいいよな…でも俺そんなに神社用語知らないし………
なんでめでたい祝いの日に俺はこんな苦労を………、ん? 祝いの日か………。
「……なあ、『のりと』ってのはどうだ?」
「『のりと』? ……あっ、祝詞から取ったんだ〜うん、凄くいいよ♪ さすがシンちゃん!」
「まあな!」
俺は少し背を反らしながら答える。
なんとかなるもんだ
昔から俺は土壇場に強かったもんな、うん
ともあれやっとこれで俺も安心して………
「私もいいと思うわ。
後はどっちが『みこと』ちゃん、『のりと』ちゃんを決めるだけね」
『あっ………』
まだそれがあったか…そろそろ俺は限界なんですけど………。
その後議論を重ねてどうにか女の子を『みこと』、男の子を『のりと』にする事が決まった。
そして俺はこの後子育ての難しさを知るのだが、それはまた別の話。
〜 F I N 〜