『届く未来』
1
ザッザッザッ
わたしとシンちゃんは電車に揺られてバスに乗って、その後小さい山に入ったの。
シンちゃんは山道なのにわたしの手を取って、何事もなく前を歩いてる。
別に今日はハイキングに来たわけじゃないんだよ
他にちゃんとした目的があるの
「つかさ」
「なーに?」
「道に迷ったって言ったらどうする?」
「………
えっー!?」
シンちゃんのさらっと言った爆弾発言。
こんな季節でもし夜になったら凄く寒いだろうし、わたしそんな用意もしてきてないし………
ど、どうしよう〜? まさかのイブがこんなことになるなんて〜!
「冗談だけどな」
「えっ?」
「かりにも別荘だぞ? 普通に一本道だし迷う要素なんて皆無だ」
「はぅっ〜ひどいよー」
笑いかけてくるシンちゃん。
いつもよりも口が軽いのはきっとシンちゃんも、この二人だけで過ごすクリスマスイブを楽しみにしてる証だよね
「まあみゆきと行った時とは周りがちょっと違ってるけど………! べ、別にあれだからな、もう3年以上前のことだからな!」
なぜかいきなり地図をぶんぶん振りながら慌てて説明するシンちゃん。
そのことはわたしも覚えてる。あの後ゆきちゃんがわたしたちで決めた罰ゲームを受けて、可愛かったなーゆきちゃん
今向かっているのはゆきちゃんの親戚の人の別荘。
今年のイブの過ごし方を相談したら、ゆきちゃんがここを使ってもいいように手配してくれたんだよ、感謝。
でもゆきちゃんってやっぱりお金持ちもちなんだね〜
「ほら着いたぞ」
そしてやっぱり着いた別荘はとっても大きかったの