『Your Love』
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六月十五日
その日はシンさんがお一人になられた日
私はようやくに慣れてきた大学の門をくぐります。
もちろんシンさんは今はお一人ではありません。
泉さんといった家族。
かがみさん、つかささんといった御友人もおられます。
そしてお恥ずかしながら私も隣に
それでもやはり心配してしまいます
シンさんの傷の深さの一端でも知っているから
「オーッス!」
「きゃっ!?」
思考中に肩を叩かれ、私は思わず驚きの声を出します。
振り向くと、そこにはシンさんのお顔がありました。
「ワルイ、ワルイそんなに驚かれるとは思ってなかったから」
「い、いえ、お見苦しいところを………」
私は日付を間違えていたのでしょうか?
去年のことがありましたからある程度の覚悟をしていたのですが、ちょっとした拍子抜けという感じです。
「みゆき、だから考え事しながら歩くなって言ってるだろ、またぶつかるぞ?」
「す、すみません」
「まあいいや」
えっ?
「今日4講義後から空いてたよな? どっか行こうぜ!」
「えっ、あっ」
「じゃあ終わったら、いつものところで!」
それだけ言うとシンさんは風の様に走っていかれました。
呆気に取られている私に、さらに一言飛んできます。
「遅れるんだったらメールしろよなー!」
少し遠くから片手を大きく振るシンさん。
……シンさん、皆さんが私達に注目されています………、少し恥ずかしいです。
そして思います。
やはり普段とは違う、と。