『電話越し』
1
自分の家のドアを開け、ふらつきながら家の奥へと進んでいく。
さすがにマズかった
今にも失いつつある意識の中で後悔の念が過ぎる。
バイト7連勤、その上に大学の課題レポートの作成のせいで、さすがにザフトのスーパーエースと謳われたオレももうボロボロだ。
なんでこんな無謀ともいえる強行スケジュールを組んだのか
理由は決まっている
そう、それは明日のため
明日のイベントを気兼ねなく楽しむため
そしてそのために今のオレに出来るのはもうベッドに飛び込むことだけだ
日付が変わるまで後数時間もあるけど、オレの稼働時間はもう限界に近い。
オレは最後の力で寝巻きに着替えると、ベッドに倒れこむ。
ブルブルブルブル
失われる意識は、振動する携帯によって引き上げられる。
もちろん、今の場合全然嬉しいことじゃない
「クッ、電源落とせばよかった………」
マナーモードにするまでしか頭が回らなかったというのは、いかに自分がヤバイ状況に陥ってるかを分からせてくれる。
オレは手を伸ばし携帯を掴むと、手元に引き寄せ―――
そこで意識は完全に覚醒する。
まるでデュートリオンビームの補給を受けたインパルスの様に
動ける力をくれるのはいつも女神
オレにとっての電話の主だ
「もしもし」