『たかが呼び方、されど呼び方』
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『いただきま〜す』
今日も5人そろっての教室での昼食。
最初は女4人に対して男はオレ1人の状態に少し戸惑いがあったけど、今では何の気にもならない。
慣れというのは凄いというか、怖いというか………。
「シン、なに2828してんの〜?」
「に、ニヤニヤなんて、し、してるかよ!!」
こなたの生暖かい視線をオレは慌てて否定する。まさか、和んでました〜♪、とは絶対に言えない。言えるわけがない!
「ですが暖かくなってきましたし、頬が緩んでも仕方がありませんよ」
「だ、だからニヤニヤなんて…もういい…でも、ホントに暖かくなってきたよな」
ここで頑なに否定するのもなんだし、オレはみゆきさんの話題に乗る事にした。
「そうだね〜。そしてネジが何本か飛んでる人の季節だね☆」
「ちょ、おまっ! またそういう爆弾発言を…まあ確かに、変質者が多くなる時期よね」
「ええ…私もつい先日電車で痴漢に………」
「ゆきちゃんも? わたしもなのー嫌だよね〜」
「そんな場合は声を出して周りに知らせるなり、取っ捕まえて引き渡せばいいんじゃないのか?」
オレは思った疑問を口にする。
「それはそうなのですか………」
「ふっ、さすが女心が分からないのはアスカ家のお家芸だな!」
「な、なんだと!?」
どっかで聞いたような挑発的なセリフのこなたに、オレは噛み付く。
「そ、その、お恥ずかしながらその時になると、怖くて何も出来なくなってしまい………」
「だよね〜わたしもお姉ちゃんに助けてもらわなかったら………」
「ていう事よ。あんたの言った事が出来る女の子は少ないのよ」
「そんなもんなのか………」
確かに言われてみればかがみのようなハッキリと言えるタイプの女ばかりじゃなく、
つかさやみゆきさんのような大人しくて言えないタイプの女もいるもんな。
「分かったかね? だからシンも気をつけるんだよ」
「ああ、空気読めない発言をして悪かった………」
「そうじゃないよ〜わたしが言いたいのは、パルマする時は相手を選べ! ってこと♪」
「オレを変質者と一緒にすんな!!」
オレは机を叩いて絶叫した。