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まだだ、きっとまだ手はあるはずだ!
と自分を叱咤激励するものの、手は以前として思い浮かんではいない。
だけど絶対に諦めるわけには行かない。
今オレとみゆきの仲が危機にあるのだ。
このまま最悪の結末を迎えるってのは大げさな事じゃない、それだけの事をしちまったんだ。
だけど、だけどゼミ旅行が傷心旅行なんて絶対に真っ平ごめんだし、みゆきと別れるなんて冗談じゃない!
「もういいです」
背を向けたままのみゆきの言葉はもう涙声ではなかった。それが逆にオレの背筋を寒くする。
「えっ?」
あまりにも間抜けな返答、今のオレにはそれしか出来ない。
「もう謝らなくていいですから、変わりに」
「……変わりに?」
まだ怒っているのかそこでみゆきは、言葉を止める。
そして体全体を震わしながら、小さく一言だけ
「ぎゅってしてください」
耳を真っ赤にしてそう告げるみゆき、表情は背を向けてるため、見えないけど簡単に想像できる。
オレはみゆきに近付き、そっと手を回す。
もともと勝ち目なんかあるわけがない
みゆきは頭も良いし、優しいし、気配りも出来るし、美人だし
そもそも戦う必要すらない
「ごめんな、みゆき」
オレを見守ってくれる心強い友軍
そしてとっても可愛い彼女
「みゆき、日をずらして旅行に行かないか?」
オレの提案にみゆきは小さく、でもはっきりと頷いてくれた。
〜 F i n 〜