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「はい、終わり」
肩を軽く叩くと、彼の相手は私からパソコンへ。
ブゥゥゥン
カチャ
カチャ
カチャ
彼が奏でる無機質な機械音。
「明後日空いてるか?」
「えっ、は、はい………」
「その次の日も?」
「はい………」
「その次は?」
「空いてますけど………」
振り向きもせずに続けられる意味がない会話。
「よし」
キーボードを叩く手が止まります。
「明後日だ」
「えっ?」
「明後日から3泊4日温泉に行くぞ!」
「えっ、あ、あの………」
「場所は静岡」
「えっと、乗り物は………」
「バイクしかないだろ」
「と、泊まるところなど………」
「ああ、取れた。後はなんとかなるだろ」
神速ともいえる解答に、口は動けど出てこない言葉。
「で、ですが………」
「まだ、文句が」
近づいてきて、送ってくる挑発的で魅力的な視線。
「あるのか?」
「……ありません………」
「決まりな」
彼は笑います。
微笑みよりも強く、笑みよりも柔らかなもので
これを見る度に思うのです。
「それでは、楽しみにさせてもらいます」
「ん、ああ!」
ついていきましょう、と
〜 F i n 〜