『First contact』 〜みなみ編〜





「ほいほい。ありがと〜」

 トイレから教室に戻ってきたら、こなたがクラスの女子と話していた。

「こなた、どこか悪いのか?」

 オレは女子がこなたの席を離れてからこなたに声を掛ける。

「なんで?」

「さっき喋ってたヤツって保険委員だろ。だからさ」

「ああ〜。

 悪いのはわたしじゃなくてゆーちゃんだよ」

「なっ!? ゆ、ゆたかがどうかしたのか!? 倒れたのか!? 熱を出したのか!?」

 ゆたかの名が出た瞬間オレはこなたに詰め寄る。



「もちつけ! シスコン!!」

「だ、誰がシスコンだ!?」

「シン」

「…………」

 こなたの冷静な返しにオレは言葉を無くす。

 確かに少し慌てすぎと思われるかもしれないけど、ゆたかは少し体が弱い所があるし、

血は繋がっていないオレなんかを兄の様に慕ってくれている、とても純粋で優しい子だ。

 そんなゆたかが倒れたと聞いたら、オレが冷静でいられない理由も分かってもらえるだろう。



「昼休みにちょっと気分が悪くなったんだって」

「そ、それで!?」

「同じクラスの岩崎さんが保健室に連れてくれいってくれて、今は寝てるって」

「そうか………」

 ゆたかが高校生になって2週間近く、疲れが出てもおかしくもない。

 そういえば朝ゆたかは少し顔色が良くなかったな…取りあえずは重症というわけではなさそうだ。





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