『First contact』 〜みなみ編〜
1
「ほいほい。ありがと〜」
トイレから教室に戻ってきたら、こなたがクラスの女子と話していた。
「こなた、どこか悪いのか?」
オレは女子がこなたの席を離れてからこなたに声を掛ける。
「なんで?」
「さっき喋ってたヤツって保険委員だろ。だからさ」
「ああ〜。
悪いのはわたしじゃなくてゆーちゃんだよ」
「なっ!? ゆ、ゆたかがどうかしたのか!? 倒れたのか!? 熱を出したのか!?」
ゆたかの名が出た瞬間オレはこなたに詰め寄る。
「もちつけ! シスコン!!」
「だ、誰がシスコンだ!?」
「シン」
「…………」
こなたの冷静な返しにオレは言葉を無くす。
確かに少し慌てすぎと思われるかもしれないけど、ゆたかは少し体が弱い所があるし、
血は繋がっていないオレなんかを兄の様に慕ってくれている、とても純粋で優しい子だ。
そんなゆたかが倒れたと聞いたら、オレが冷静でいられない理由も分かってもらえるだろう。
「昼休みにちょっと気分が悪くなったんだって」
「そ、それで!?」
「同じクラスの岩崎さんが保健室に連れてくれいってくれて、今は寝てるって」
「そうか………」
ゆたかが高校生になって2週間近く、疲れが出てもおかしくもない。
そういえば朝ゆたかは少し顔色が良くなかったな…取りあえずは重症というわけではなさそうだ。