『Why are you together?』





 オレは財布の中から1枚の紙切れを出す。

 書いてあるのはあるゲームソフトのタイトル名と値段、そして受取人の名前。

 その受取人の名前はオレじゃない、オレの彼女である泉こなた、その人物の名前が書かれている。

「何やってるんだ………、オレは………」



 時間はもう少しで10時、場所は自分の家から最も近い某アニメショップ、近いといっても1時間弱はかかる。

 並んでる人はオレを含めて両手で足りるくらいの人数。

 別に今日はここでイベントもないし、並んでる人の目的の大半は恐らくオレと一緒の目的だろう。



 暇人どもめ、せっかくの連休に他にする事がないのか。

 と、心の中で目の前のヤツらを蔑むものの、自分もその状況と同じだという事に気付き、絶望する。

 何故オレがはたから見れば不毛で無駄な事をしてるかというと、こなたの頼み…もとい、命令によるものだ。

 しかもこなたの方は今頃、徹夜でのネトゲーが終わり布団の中だろう。

 まったく大した身分としか言いようがない。

 前の方で人が動く気配がした。ようやく開店時間を迎えたらしい。



 さっさと買って、さっさと帰ろう。

 強い決意とは裏腹にオレは肩を落としながら、店に入っていった。





「ただいま」

「おかえり〜待ってたよ」

 オレが帰ってきたら、こなたが走って出迎えてくれた。

 中々可愛気があるもんだ。

「はい」

「なんだこの手は?」

「ゲーム出して」



 ああ、オレって素敵なくらい馬鹿だな



「ありがとう」

 こなたはオレからひったくる様にゲームを奪い、リビングに向っていった。

 あの様子だと、まず昼食はオレが作らなければならないだろう。

「シン、何してんの? 早く早く」

 オレが呆れて玄関で未だ立っていると、こなたがリビングから顔を出して、手招きをする。

 きっと今はゲーム機が起動中だから暇なんだろう。

 全く持って身勝手だ。オレも身勝手さには自信があったけど、こいつばかりには勝てる気がしない。

「分かったから、落ち着けよ」

 でも何故かオレは反抗する事もなく、こなたの方に向うのだった。





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