『Why are you together?』
1
オレは財布の中から1枚の紙切れを出す。
書いてあるのはあるゲームソフトのタイトル名と値段、そして受取人の名前。
その受取人の名前はオレじゃない、オレの彼女である泉こなた、その人物の名前が書かれている。
「何やってるんだ………、オレは………」
時間はもう少しで10時、場所は自分の家から最も近い某アニメショップ、近いといっても1時間弱はかかる。
並んでる人はオレを含めて両手で足りるくらいの人数。
別に今日はここでイベントもないし、並んでる人の目的の大半は恐らくオレと一緒の目的だろう。
暇人どもめ、せっかくの連休に他にする事がないのか。
と、心の中で目の前のヤツらを蔑むものの、自分もその状況と同じだという事に気付き、絶望する。
何故オレがはたから見れば不毛で無駄な事をしてるかというと、こなたの頼み…もとい、命令によるものだ。
しかもこなたの方は今頃、徹夜でのネトゲーが終わり布団の中だろう。
まったく大した身分としか言いようがない。
前の方で人が動く気配がした。ようやく開店時間を迎えたらしい。
さっさと買って、さっさと帰ろう。
強い決意とは裏腹にオレは肩を落としながら、店に入っていった。
「ただいま」
「おかえり〜待ってたよ」
オレが帰ってきたら、こなたが走って出迎えてくれた。
中々可愛気があるもんだ。
「はい」
「なんだこの手は?」
「ゲーム出して」
ああ、オレって素敵なくらい馬鹿だな
「ありがとう」
こなたはオレからひったくる様にゲームを奪い、リビングに向っていった。
あの様子だと、まず昼食はオレが作らなければならないだろう。
「シン、何してんの? 早く早く」
オレが呆れて玄関で未だ立っていると、こなたがリビングから顔を出して、手招きをする。
きっと今はゲーム機が起動中だから暇なんだろう。
全く持って身勝手だ。オレも身勝手さには自信があったけど、こいつばかりには勝てる気がしない。
「分かったから、落ち着けよ」
でも何故かオレは反抗する事もなく、こなたの方に向うのだった。
別の日常を見る
進める