「分かった、けどな…お前スク水しかもってないだろ?」

「んなバカな、もってるよ、普通の―――」

「子供用水着か」

 ドガッ!



 茶々をいれた後に来た衝撃。

 今の攻撃全然見えなかったぞ、マジで………



「さあ、前提条件は全てクリア、ならばっ!」

「いや無理だろ」

「まだ言う〜?」

 オレの度重なる否定の言葉に、さすがのこなたも若干泣きそうな顔。

 といってもオレも本当にこなたを困らせるとか、泣かせようとか思っちゃいない。

 オレだってこなたとどこかに出かけたいし、

できればずっとそのゆる〜い顔でオレをおちょくってほしいし、こなたの願いは聞き入れたい。

 でも出来ないことだってある。



「ほら」

 オレは部屋にある大きな時計を指す。

「あっ………」

 時刻はもう夕方。

 日が高いからオレもこなたも気付かなかったけど、じゃれてる間に結構時間が経っていたらしい。



「そっか」

 バタンっとこなたが倒れる。

 素っ気なく言うのが、逆に本当にプールに行きたかったことを意味している。

 どう言葉を掛けたらいいのか分からないオレを横目に、こなたは上体だけ起き上がらせる。



「夕飯の買い物に行こっか?」

 こなたはプールに行きたかったんじゃなくて、オレとどっかに行きたかっただけだったのかもしれない。

 そんな自惚れを、無邪気にいつもの顔でこっちを見上げてくるこなたを見て思った。





〜 F i n 〜   






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