5
そうじろうさんの考えが合ってるとかは分からない。
ただきっと、オレの亡くなった家族よりもかなたさんの方が、今、幸せだと感じているはずだ。
一体何が違うんだろうか?
オレとこの人とは
亡くなった人に対する想いなのか
年月なのか
人格なのか
それが分かる日が、オレに来るんだろうか
「それと」
そうじろうさんはオレの頭をポンポンと軽く叩く。
まるで父親の様に
「こなただって母親がいなくて寂しい想いはしてるんだから、さっきの言葉は感心しないな」
謝れという事なんだろう。
こなたにはこなたなりに母親を慕う気持ちがあるんだ。だからお祝いをしようとしていた。
それなのに、オレはそれを理解するどころか身勝手な考えを押し付けてしまった。
こんなんじゃオレはいつまで経っても進歩無しだ
「あっ、その、悪かったな、こなた」
だから、せめてちゃんと謝ろうと思ったのに、どうしてもぶっきらぼうになってしまう
「えっ、ああ、うん、気にしてないから〜」
こなたはいつものユル〜イ顔で手をひらひらと返す。
クソッ! これだったらオレが1番子供じゃないか!
「よし! じゃあ買い物に二人で行ってきてくれ!
お父さんも、お母さんも楽しみにしてるからな」
そうじろうさんが、謝ったオレを褒める様に肩を軽く叩いた。
薄々分かってはいたけど、この世界ではオレは子供という扱いらしい
だったら、今のそうじろうさんにされた事を嬉しいと思っても別に問題ないよな?
「じゃあ、シン行こっか」
「ああ」
オレはこなたの後に付いて玄関に向かった。
〜 f i n 〜