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自分は寝覚めの悪い夢を見ていた。
それなのに目覚めると夢とは逆。
とても寝覚めがいい。窓を全開にして叫びたいくらいに
だけど妙だ。
あの類の夢を見てこんな気持ちになれるわけが………
そしてオレはようやく気付いた。
オレは誰かに抱きしめられる形になっているということに
「……こな…た………?」
男にはない特有の柔らかな体つき、今オレの住んでいるところでそれに該当するのは1人しかいない。
一体いつの間に部屋に入ってきたんだろう。
そしてきっと悪夢から一転して、暖かいものに包まれた夢を見たのはこなたがこうしてくれたからなんだろう。
ということは
オレはこいつに助けられた………?
そこまで思考がめぐると、一転血の気が引く。
こなたがそれを知ったらどうする?
きっとオレをからかう、というかそれしかない
そうなったら終わりだ
オレはこいつに一生頭が上がらなくなる!!
というかそもそもなんでこいつはオレのベッドにいるんだ!?
なんだ、新たな嫌がらせか!?
「ふぁっ、はふっ」
離れようとした時はすでに遅い
すんでのところでこなたは目覚めてしまった。
終わった、オレの人生、こんな緩すぎる異世界で
「おはよ〜シン」
やや寝ぼけた声でそう言ってくるこなた。
見上げてみるその顔には一点の曇りもない。
なんにも考えてない顔だ。
「どったの〜?」
そうだよな、こいつはそんなやつじゃない。
そんな人を罠にはめようなんてことをできる芸当のやつじゃない。
ただ自分の心に正直なだけで
ちょっとした親切心みたいなのがでただけなんだろう。
「ん〜? おはよ〜」
オレが返事を返さないので、さらに間抜けな顔でオレに言葉を掛けてくるこなた。
でもあの時感じた暖かさにオレは助けられた。
そしてこんなにも気分は晴れやかだ。
悔しいけどそれは認めるしかない
「ああ、おはよ」
今回はただ感謝するしかない。
悪夢を払うのを手伝ってくれたんだから
ありがとな、こなた
〜f i n〜