４
過去に出会った少女を思い出したのか、単に泣き顔を見たくなかったのか、あるいはその両方か、理由は分からなかった。
ただ気付くとオレはこなたを抱き締めていた。
「シ………ン……？」
「…そんな顔するな」
「………でも、で、でもわ、私は………」
「オレもこなたの思い入れのものを捨てようとしたんだし、おあいこだ」
「違う、違うよ！ わたしとシンの思い出じゃ………重さが違うよ！！」
そう叫ぶと泣き出すこなた。
………違うぞ、こなた………
オレは手をこなたの頭の上にゆっくり置いた。
「思い出に軽いも重いもないさ。悲しい事はどんな事でも悲しいし、楽しい事はどんな事でも楽しいんだ」
「………シン………」
「だから、もう泣くな。オレにこれ以上悲しい思い出作らせないでくれ」
「…………うん」
泣きやむのを確認して、オレはこなたを放す。
「……でも〜シン」
「ん？」
「さっきの思い入れってところ、相当クサいよ♪」
………切替えの早い奴！…………
「なに？ なに？ どのアニメのセリフ？」
「う、うるさい！ は、早く片付けろ！」
「うひゃー！ シンが怒った♪」
「教えてくれたのはお前達だろ」
オレは渋々片付けをしてるこなたに聞こえない様に小声で答えた。
〜 f i n 〜