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「で結局どうしたのよ?」
放課後の教室ジト目のかがみがわたしに尋ねてくる。
「ごまかしたよ。シンのこと素晴らしい仲間って思ってるんだから、って言って」
「そんな事だろう思ったわよ」
呆れつつもどこかほっとした表情のかがみ。
「でもね、きのうお姉ちゃんもわたしも中々寝られなかったんだよ〜」
「つかさ! で、でも分かったでしょ!? 私達が告白に踏み切れない訳が………」
「まぁね〜ぶっちゃけ、フラグが足りないと思ったよ」
かがみの質問にわたしは顔を机に突っ伏したまま答える。
もう少しシンがわたしの告白に頷いてくれる確証が欲しい。
「ですが、あきらめてないですよね?」
みゆきさんが笑いながらわたしに尋ねてくる。
「もち☆というわけで、みんなこれからはライバルってことでよろ〜」
「うん! よろしくね、こなちゃん」
「よろしくお願いします」
「はぁ、また増えたのか………」
わたしの親指を立てる仕草につかさとみゆきさんは笑顔で、かがみはため息で返した。
「というわけでさ、提案があるんだけど」
「なんでしょう?」
「せっかくみんな同じ人を好きになったんだし、団を作ろうよ!」
「団?」
「そう、略して『SOG』団!!」
「何そのライトノベルに出てきそうな団は? 大体なんの略よ? 『S』はシンでしょ、『O』はどうせ、おおいにでしょ、『G』は何よ?」
かがみの質問にわたしはにやりと笑い発表する。
「『G』はギャルゲーみたいな恋愛を楽しむ!」
「待て、ギャルゲーはいらないだろ!」
わたしの発言にかがみが即座にツッコミを入れる。
「あっ、団長はかがみだし」
「なんでよ!? 普通あんたでしょ!?」
「この前の誕生日に団長の腕章あげたじゃん、それにかがみが一番最初にシンとフラグ建てたし」
「う………」
「そっか〜」
「適切ですね」
反対意見は出ずにかがみが栄えある初代『SOG』団の団長となった。
「まあ、団は置いといて、こうライバルが多いと、協定みたいなのが欲しいわね」
「それは今度の会合で決めましょうか」
「じゃあ考えとこ〜」
「いい加減にしろよ、お前ら!!」
怒声とも言える声で教室に入ってきたのは、我らがヒーロー、シン・アスカだった。
「すぐ終わるって言うから、待ってたのにもう30分経つぞ!! いい加減帰るぞ!!」
「はいはい〜♪」
わたしは返事をするとすぐさま鞄を取ってシンの隣に並ぶ。
三人がやられたという顔をするが、気にしない。
「シン帰ろ〜」
「ああ…お前達も早く用意しろよ」
怒っている顔のシンを私は横から覗き込む。
今はまだ勇気が足りないけど、でもいつか、そう遠くない日に言うから、それまで待っててね? ……シン。
〜 f i n 〜