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「待たせたな」
オレは部屋から自作のノーパソ(カスタマイズ済)とビデオカメラを持って、力強く言い放つ。
まあ別段威張るほどのものはしないけどな
「なにすんの?」
「あのダンスって、アニメのなんだろ?
オレは振り付けを今いち覚えてないからな」
「なるほどね、見本を見ながらわたしのを見るってわけだね〜」
「ああ、そしてこのビデオでお前のダンスを撮っとけば、どこが悪いか分かるだろ?」
「ふんふん」
オレの説明を聞いて、こなたの方も結構ノリ気になったらしい。
ダンスの詳細を知らないオレに変わって、投稿動画サイトにアクセスをする。
「あっ!」
「どうした?」
「それだとシン手拍子やるのしんどくない?」
「そこはいいだろ………」
思いっきりどうでもいいこなたの発言に、オレはボソリと呟いた。
「でもさ」
「ん?」
「なんでそんないきなり協力的になったの?」
「言っただろ、お前が本気だって分かったからだよ」
「でもシンわたしが本気だった時っていつもそんなだっけ?」
「それ以外の本気って、ゲームとか試験の為にオレのノートを借りようとするくらいだろ」
「おお、そう言われたらそうだね〜」
ポンっと手を打つこなた
そんなの恥ずかしくて言えるか
ダンスをしてる時のお前の顔は、力になりたいと思わせる程に輝いてるなんてな
「どったの?」
普段はこんな力の抜けた顔をしているくせに、時々見せる顔は本当に楽しそうだ
少し羨ましい
何故かは知らないけど、最近そう思う様になった。
「なんでもない
さっさと用意しろ」
「はいは〜い♪」
文字通り飛び跳ねつつこなたは、所定の位置に移動する。
まったく
何がそんなに楽しいんだか
「いいか? いくぞ」
「いつでもきなさい!」
こなたに笑みを悟られない様に、オレは下を向きつつ器材のボタンを押した。
〜 f i n 〜