1
「あっ」
夏休みの宿題を相手にするのもいい加減に面倒臭くなったオレは、ある事に気がついた。
オレはイスから離れ、壁に掛けてあるカレンダーに向かう。
カレンダーは7月分、そして今日はもう7月が終わって、数日が経っていた。
なんだかんだとめくるのを忘れてたらしい。
オレはカレンダーをめくり
「そっか、ここに来てもう2ヶ月か………」
『8』の数字が目に入ってきた瞬間に手を止めた。
『Girl is enjoying』
オレが元のいた世界からこの世界に来て、もう60日以上が過ぎてしまった。
もちろん、オレだって何もしていないわけじゃなかった。
独自にだけどその手の研究を続けていた。
だけど未だなんの取っ掛かりすら掴めていない。
そしてその間にも色々な事がオレの周りでは起こった。
この世界の学校に入らされ、何人かのおせっかいな奴らにも出会った。
別にこの世界は嫌いじゃない、オレが望んでいた平和な世界、少なくともオレが元いた世界よりはそう感じられるところだ。
当初はオレも何か学べるかもしれないと、前向きになっていたものの、2ヶ月というのは余りにも長すぎる。
「帰れるのかな、オレ………」
その長い年月はオレに不安と焦りを生ませるのには十分な日数だった。
焦るな
そう言い聞かせれば言い聞かせるだけ、余計に元いた世界に残してきたものが気になってしまう。
「クソッ、オレは一体何を―――」
『シ〜ン、今暇?』
振り上げた拳は壁に当たる直前に止まる。
どこまでも能天気な声によって