『わたすもの もらうもの』
1
コンコン
「入るぞ」
答えを聞かずに部屋に入ってきたのは、異世界からの同居人でこの春からわたしの彼氏になったシン・アスカ。
シンは別に気にする素振りも見せず、わたしのベッドに腰を落とす。
そんなシンの姿を視界の隅にとどめつつ、わたしはやっていたネトゲを続ける。
「誕生日プレゼント何がいい?」
「ちょ!? 茶吹いた!」
「お茶なんてどこにもないだろうが!」
もちろんそんなことはわたしが一番知っている。
様はわたしは驚いたのだ。
何にって、もちろんシンの空気の読めなさに
「普通に聞く?」
だいたいこういうシチュなら、サプライズ、もしくはそれとなく聞くというのがパターン。
それなのにこの男は………
やはり積んであるギャルゲー、エロゲーをやらせるべきか
「そりゃオレだって………。でも付き合って初めてのプレゼントが微妙なのだったらヤだろ………」
ぼそぼそと下を向いたまま答えるシン。
シンはシンなりにこのイベントを大切に想ってくれてるらしい。
愛やつ愛やつ♪
「じゃあ『きら☆すた』ブルーレイボックス」
「お前、それ満足か………?」
「う〜ん………」
確かに欲しいけど、これまた彼氏にねだるものとしては微妙かもしんない。
「お前なんの為に普段ギャルゲーとかやってんの?」
「ギャルゲーやって可愛い女の子になれるほど、三次元は甘くない!」
わたしの決め台詞に、なぜかシンはがっくりと肩を落とした。