『わたすもの もらうもの』





 コンコン



「入るぞ」

 答えを聞かずに部屋に入ってきたのは、異世界からの同居人でこの春からわたしの彼氏になったシン・アスカ。



 シンは別に気にする素振りも見せず、わたしのベッドに腰を落とす。

 そんなシンの姿を視界の隅にとどめつつ、わたしはやっていたネトゲを続ける。



「誕生日プレゼント何がいい?」

「ちょ!? 茶吹いた!」

「お茶なんてどこにもないだろうが!」



 もちろんそんなことはわたしが一番知っている。

 様はわたしは驚いたのだ。

 何にって、もちろんシンの空気の読めなさに



「普通に聞く?」

 だいたいこういうシチュなら、サプライズ、もしくはそれとなく聞くというのがパターン。

 それなのにこの男は………

 やはり積んであるギャルゲー、エロゲーをやらせるべきか



「そりゃオレだって………。でも付き合って初めてのプレゼントが微妙なのだったらヤだろ………」

 ぼそぼそと下を向いたまま答えるシン。

 シンはシンなりにこのイベントを大切に想ってくれてるらしい。

 愛やつ愛やつ♪



「じゃあ『きら☆すた』ブルーレイボックス」

「お前、それ満足か………?」

「う〜ん………」

 確かに欲しいけど、これまた彼氏にねだるものとしては微妙かもしんない。



「お前なんの為に普段ギャルゲーとかやってんの?」

「ギャルゲーやって可愛い女の子になれるほど、三次元は甘くない!」

 わたしの決め台詞に、なぜかシンはがっくりと肩を落とした。





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