『病は気から』





『5日はどうだ?』

「その日は無理」

『じゃあ12』

「無理」

『お前なぁー………』

 呆れた声を電話越しから出してるのは、私の彼氏こと、シン・アスカ。

 私達が何をしているかというと、夏休みを利用して二泊三日の泊まりがけの計画を建てているのだが………



『かがみいい加減にしろよ! 何時なら空いてるんだよ!?』

「仕方ないでしょ!? 夏期の集中講座があるんだから!!」

 怒鳴り声にこれまた怒鳴り声で私は返す。

 私だってシンに会いたくないわけじゃない。それどころか凄く会いたい

 だけど私の夢である弁護士になるためには少しでもものになる講義を取っておきたいのだ



『じゃあ15…はお盆だし、予約なんて取れないしな〜』

 シンは呆れつつも、なおも予定を聞いてきてくれる。

 さぼれ、とは決して言わないし、私が言ったらシンは怒るだろう。



 弁護士になる事を私はシンの前で約束したし、シンはそれをできる限りの手助けをすると言ってくれた。

 だから妥協はしたくなかった………、とはいったものの、シンとは夏休みに入って一度も会ってない

 デート等片手以上両手未満余るくらいしかしていないし、お泊まりなんて三本の指で足りる

 付き合い始めたのが高校を卒業した時だから、たかだか半年とはいえこのデート数は異常な少なさだ

 だから出来ればこの旅行は何としても行きたい



『じゃあ、20日はどうだ?』

 何度目かの予定調整、もう残ってる日は少ない。

 私は願いを込めて手帳のその日を見る。

 泊まり終わりの翌日に予定があるが何とかなる! というかする!



「空いてるわよ」

『よし決まりだな!』

 嬉しそうに言ってくるシン。

「はいはい、じゃあその日ね」

 それとは逆に私は冷静を装った返事で返す。

 もちろん本心では嬉しいのだが恥ずかしいから表には出せない

 こういう素直じゃないところがこなたにツンデレと言わしめられてる原因なのだが、なかなか素直になれない



 だから、せめてシンの前では甘えたい

 この機会を逃すわけにはいかないのよ!!





別の日常を見る        進める