『双子の誕生日』





「――でね、それでね! この前私が男に声かけられた時ね、あいつが言ったのよ、

『あんたにかがみを守れるのか、はっきりいってそうは見えないね! オレか? 当然守れるさ、試してみるか?』ってね」

「それでその男の人はどうしたの?」

「そりゃ、鼻白んで帰っていったわよ。もうあん時は本当に恥かいたわ」



 そうは言ってるけど、お姉ちゃんは凄く嬉しそう。

 顔を真っ赤にしてて、もうすっごく可愛いんだよ!

 こんな顔はお姉ちゃんに彼氏さんが、できるまで見たことがなかったのにね

 でも今はお姉ちゃんはわたしに、彼氏さんの話をする時はいつもこの顔をする。

 それだけお姉ちゃんと彼氏さんが今もラブラブだってこと!



 お姉ちゃんと彼氏さんが付き合うようになったのは高校の卒業式の日。

 あれからもう一年以上も交際が続いて、二人の仲は深まるばっかり。

 わたしも彼氏さんのことはよく知ってるんだけど、二人とも頭が良くて、優しくて、ちょっとだけ不器用で、本当にお似合いの二人なんだよ♪



「あっ、ごめん、私ばっかり話して…しかもなんか惚気話ばっかし………」

 一通り話終えるとしゅんとするお姉ちゃん。

 いつもはすっごくしっかりしてるお姉ちゃんも、彼氏さんが関わると可愛くなる。

 だからその時だけわたしは少しだけお姉さん気分♪



「全然いいよ、わたしが聞きたいって言ったんだもん

 わたしの方こそあれこれ聞いてごめんね」

 聞きたいって言うのは本当

 彼氏さんのこと話す時お姉ちゃんは本当に幸せそうな顔をする。

 わたしはそんなお姉ちゃんの顔が見たいから、ついつい二人だけの秘密のことまで聞いてしまう。

 う〜ん、やっぱりお姉さんって難しいね

「そ、そんな、つかさにはあいつのことで相談にいっぱい乗ってもらってるんだし………」

 お姉ちゃんと彼氏さんはよく喧嘩をする。

 でも原因のほとんどは相手を思いやるからの擦れ違い。喧嘩するほど仲がいいっていう見本。

「でも、わたし聞いてるだけだし」

 これも本当

 わたしは頭が良くないからお姉ちゃんが困っていてもいいアドバイスができないの

 だから仲直りするのは二人の愛の絆なんだよ♪

「それがありがたいんだけどね

 あっ、ごめん。つかさは明日も学校なのよね」

 頷くわたし。

 わたしは専門学校だから高校時代と一緒で朝が早い。

 将来の為に選んだことだから後悔はしてないけど、お姉ちゃんの話を夜遅くまで聞けないのは残念。



「ごめんね、本当にありがとう」

 お姉ちゃんは嬉しそうに部屋を出て行った。



 やっぱりお姉ちゃんが彼氏さんと付き合って成功だったよね

 お姉ちゃんも彼氏さんも、そしてわたしもみんな幸せだもん♪



「あっ!」

 閃いた

 今度の誕生日はお姉ちゃんと彼氏さんにペアのなにかをプレゼントしよっと



「なににしよっかな〜♪」

 頭の中に色々なものが浮かんでくる。

 学校が終わったら、少し駅前を覗いてみよっかな



 また嬉しいことが起きちゃった♪





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