『似たもの夫婦』
1
「ただいま」
かがみが帰ってきたのはオレが一歳になる息子のれいをあやしてる時だった。
どさっ
夕飯の買い出しの袋を地べたに置いた音で分かる、相当機嫌が悪い。
ただどうやら原因はオレではないらしい。
「どうしたんだよ?」
れいをたかいたかいをしつつかがみの方を見る。
整った菫色の眉、れいを持っていなかったらきっと鞄が顔面に飛んできてただろう。
そして文字通りずんずんと俺のもとへと近付いてくるかがみ。
「これよ、これ!」
おそらくかがみの怒りの原因であるなんかの月刊誌を俺へと突きつける。
俺はれいと引き替えにその雑誌を受け取る。
どうやら育児雑誌らしいけど………。
「そういえば取材受けたとか言ってたな」
「五八頁」
俺の言葉を無視してかがみは言い放つ。かなりご機嫌斜めだ
取りあえず言われるままに該当頁を開けると、そこにはかがみの写真。
「綺麗に撮れてるな」
「そこじゃないわよ!」
「はあ?」
何がなんだかさっぱり分からないけど、取りあえずそこの記事に目を通す。
「感想は?」
「いや、いいんじゃないか」
憮然としたかがみに俺は笑みを浮かべて返す。
記事の内容は弁護士という職業のかがみが、いかに子育てと仕事を両立しているかというもの。