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「俺のせいだ………」
病院の椅子に座りながらオレは虚ろに呟く。
「そんな…シンちゃんのせいじゃないよ………」
「いや、オレがもっとかがみを気遣ってやればこんなことにはならなかった………」
「シンちゃん………」
「終わったみたいだね」
こなたの声に顔を上げると、手術室から医者のみゆきが出てくるところだった。
時計を見ると、運ばれてからそんなに時間は経っていない…まさか…もう手遅れに………。
オレはかぶりをふると、走っていきたい衝動を抑えみゆきの下に歩いて行った。
「みゆき! どうなんだかがみは!? 容態は!? 無事なのか!?」
「シンさん!落ち着いてください!」
「あ、ああ、す、すまない………」
そう言われても頭によぎるのは最悪の流ればかり、手が震え、息が詰まりそうになるのをなんとか堪える。
「おめでとうございます!シンさん」
「えっ?」
「はい、妊娠三ヶ月です」
「にんしん………?」
「はい。母子共々健康ですよ」
「は、はは………」
みゆきの言葉に俺は安堵の渇いた笑いしか出なかった。
……よかった、本当に………。
もし周りに誰もいなかったら、俺は泣いていたかもしれない。
「じゃあ今日は帰ろっか? つかさ」
「うん」
「おい、かがみに会って行かないのか?」
「いいよ。明日辺りまた見舞いに行くし」
「わたしも〜あっ、でも明日の昼には話聞かせてね、シンちゃん」
「あ、ああ、悪いな」
さすがに二人とも俺の性格をよく分かっているだけあって、手短に言う事を言って帰っていった。
俺は心で二人に感謝しつつかがみの病室に向かって行く。
「シンさーん、病院内では走らないで下さい」
後ろからのみゆきの苦笑混じりの声が聞こえる。
俺はその声に手を上げると、最も愛するものと新たに増えた守るべきものに会いに行くために駆け出して行った。
〜 F I N 〜