「さて、こんなもんかな?」

 私は自室で明日の法廷に使う資料の整理をしていた。



 こんこん



「かあさん、今いいかな?」

「いいわよ、入ってらっしゃい」

 何か難しい顔をして部屋に入ってくるれい。宿題じゃなさそうだけど………。



「最初に聞くけど、とうさんとかあさんって仲悪いの?」

「えっ!? 仲悪く見えるかしら?」

「うん」

「……あっそう」

 そんなにはっきり、本人の前で言わなくても…誰に似たんだか…って私達よねーどう見ても………



「仲良いかどうか分からないけど、悪くはないわよ」

「ふ〜ん、じゃあ次の質問―――」

「ちょ、ちょっと待って!それはなんなの?」

「両親のことについてってのが、宿題で出たんだ」

 見事なまでのポーカーフェイスで答えるれい…ここらへんは親である私達に似なかったわね…反面教師ってやつかしら?



「仕事はどう?」

「だいぶ、大きなこともまかされる様になったし、順調かな?」

「では次、体重は気になりますか?」

「ちょっと待てぃ!」

 あまりの質問に私は思わずツッコミを入れてしまった。



「宿題だよ、これ」

 そんな事を聞く宿題があるか! ……って待てよ………

「これ父さんにも聞いたの?」

「うん」

 ……あいつは息子になんという事を話すんだ………

 しかしやっぱりバレてたか〜



「さっきの質問には答えられません」

「えー? 正直困ります」

「他の質問にはなんでも答えるわよ」

「じゃあさ、かあさんはとうさんとけんかばっかしてんのに、どうして仲が悪くないっていえるの?」

 なるほどそれが本題か。でもまた説明しにくい質問ねー



「そうねー傍目に見ると仲悪く見えるかもしれないけど…あのケンカがあるから、私達は仲良くやってるの」

「なんで?」

「ああやって、お互いの言いたい事ぶつけあって、見えてくるものがあるの…って、れいには難しかったかな?」

 そう言って私はれいの頭を撫でる。

「…わかったのは、とうさんとかあさんがほんとは仲が良いってことかな」

「そーいう事

 それが分かっただけでも上出来よ♪」

「なんだよ! 子ども扱いするなよ!!」

 むくれて部屋を出て行くれい。

 やれやれ、ませてると思ったけどやっぱりまだまだ子供よね〜



 …………。



「……冷静に考えると私達って子供の前で、愛してる、って言ってるようなものよね………」

 うわ〜そう思うと恥ずかしくなってきた〜!!

「こ、これは教育上どうなんだろ…って元々あいつが余計なこと話さなかったら良かったのよ! 文句言ってきてやる!!」





 そして次の日。



「ふぁ〜ぁ………」

「あふっ………」

「何回目の欠伸だよ……とうさんもかあさんも昨日夜遅くまで何してたの?」

『…………』

 私とシンはものの見事に寝不足になっていた。





〜 F I N 〜   






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