『ケンカの意味』
1
「ただいま〜」
「おかえり」
俺が家に帰ると妻のかがみと息子のれいが出迎えてくれた、って………
「あれ? 今日お前遅くなるって」
「うん。法廷の方が早く終わってね」
俺の問いにかがみは笑って答える。
「かがみん飯はまだかよー」
「こら、れい! 母さんになんて口の聞きかたするんだ!」
変なアニメにでも影響されたのだろうか、れいは時々俺達にタメ口で話す。
ここは親として叱っておくべきだろう。
「敬語もまともに出来ない人がよく言うわね」
かがみがにやにやしながら、茶々を入れて来る。それが始まりの合図だった。
「俺がいつ敬語できないって?」
「初対面の時からずっーーとよ。最初から私の事呼び捨てにしてたでしょ?」
「何年前の話だよ!?」
「あら、れいはまだ小学四年生よ」
「それはそれ、これはこれ。だいたいおない年の奴に敬語で話すかよ!」
「あんたは年上にも使わなかったじゃないの!」
「使ってた!」
「使ってない!」
「使ってた!!!」
「使ってない!!!」
「……どうでもいいけど飯にしよ」
れいが呆れきった口調で呟いた。