『ケンカの意味』





「ただいま〜」

「おかえり」

 俺が家に帰ると妻のかがみと息子のれいが出迎えてくれた、って………

「あれ? 今日お前遅くなるって」

「うん。法廷の方が早く終わってね」

 俺の問いにかがみは笑って答える。



「かがみん飯はまだかよー」

「こら、れい! 母さんになんて口の聞きかたするんだ!」

 変なアニメにでも影響されたのだろうか、れいは時々俺達にタメ口で話す。

 ここは親として叱っておくべきだろう。

「敬語もまともに出来ない人がよく言うわね」

 かがみがにやにやしながら、茶々を入れて来る。それが始まりの合図だった。



「俺がいつ敬語できないって?」

「初対面の時からずっーーとよ。最初から私の事呼び捨てにしてたでしょ?」

「何年前の話だよ!?」

「あら、れいはまだ小学四年生よ」

「それはそれ、これはこれ。だいたいおない年の奴に敬語で話すかよ!」

「あんたは年上にも使わなかったじゃないの!」

「使ってた!」

「使ってない!」

「使ってた!!!」

「使ってない!!!」

「……どうでもいいけど飯にしよ」

 れいが呆れきった口調で呟いた。





別の日常を見る        進める