「アンタの百面相を見ると、誰でも笑うだろ」

 さっきと違い今度は皮肉たっぷりの笑顔のアスカ…どうやら私は笑われているらしい。

「なんです――」

「オレにも、妹がいたんだ」

「えっ? ………」

 突然のアスカの言葉に私の動きが止まった。



「……いた?」

 少しの間があって私は口を開く。

「ああ…もういないけどな」

「……っ!! ……ごめん………」

 だから、アスカは『妹』というのに過剰ともいえる反応をしたのか………。

 そして、瞳に宿る哀しみは恐らくそれが理由なんだろう………。

「言っとくけど、同情してもらう為にこんな話したんじゃないからな。

 アンタが勝手に自爆して、妹の事を話すからこっちも話さなくなっただけだし」

「……分かってるわよ。……でも、ごめんなさい………」

 私がもし万が一、つかさを亡くしても、アスカと同じ事を言うと思う。

 そんな事されても、かけがえのない人は二度と戻って来ないのだから………。

「な、何泣いてるんだよ!? アンタ!?」

「え?」

 言われて気が付いた…自分が泣いている事に………。





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