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今日が土曜日で良かったと心の底から思う。
もしこれが平日だったら私は大学を休むハメになり、恥ずかしくて二度と大学には顔を出せなかったかもしれない。
「腰がいたい〜」
「そりゃな」
ベッドから出られず呻いてる私にシンは朝飯の用意をしながら、淡々と答える。
誰のせいだと思ってんのよ………。
「そんな口聞いていいのかな〜」
私は携帯にある、画像をシンに見せる。
「……それオレの寝顔!? い、いつの間に!!」
「ね〜可愛いでしょ? 普段とは大違い♪」
昨日の夜ふと目が覚めた私は隣で寝てるシンの寝顔のあまりの可愛さに思わず写メしてていた。
もっとも写メした理由はそれだけではなく、
シンが私の隣であんな無防備な顔を見せたのが嬉しくて撮ってしまったというのもあるけど、これは黙っておく。
「お、お前だって、昨日あんなに可愛い声を出してただろうがー!!」
「な、な、な、なっー!? ちょっと、あの時の事を言うのは反則よ!?」
「ふん、言ったのはそっちからだろうが!!」
あ〜そういう態度とるんだ〜こいつは。
「ああ、昨日あんな甘い事言ってくれた人は、どこにいったんだろ〜?」
「くっ………。
全くだな、あんなに甘えてたヤツはどこにいったんだろうな〜?」
「くっ………。
あーあ、昨日………、ねえ、お互い止めない?」
昨日のあの時の事が鮮明に蘇ってきて、恥ずかしくなってきたし、これでは単に墓穴の堀合いである。
「……だな、止めようぜ」
シンも同じ考えに至ったらしく、顔を赤らめながら頷いた。
「そういえば、お前家に連絡したのか?」
シンは再び朝飯の準備の続きをしながら、話題転換のための話を振ってきた。
「一応、昨日シンと遊ぶ、とは言ったんだけど………」
シンが寝てる時に妹であるつかさとはメールをしたけど、家には昨日の夕方から連絡していない。
ただお母さんが色々と手を打ってくれてそうな気がする。
「多分、大丈夫よ」
私は少し考えてからそう言うと目の前に置かれたコーヒーに口を付ける。
「ならいいけど。
さて、今日はどうする? オレは昼から夕方までバイトなんだけど………」
「そうね………」
シンがバイトに出るのと同時に家に帰るのも選択肢の一つだ…でもこのまま帰るのも惜しい………。
「ねえ…もう一日いてもいい?」
私の言葉を聞いて驚いた顔をするシン、だけどすぐに嬉しそうに子供のような笑みを見せる。
「ああ! 帰ってきてかがみが出迎えてくるなんて凄く嬉しい!」
「うっ………」
なんでこいつは時々恥ずかしいことをそんな簡単に言えるんだろ?
私なんて今から言う言葉だけでも、恥ずかしいのに………。
「すぐに帰ってきなさいよ! み、み、み、未来の妻を待たせないでよ!!」
「ああ」
そして私達はお互いの唇を重ね合わせる。
バカップルだ、完全にバカップルだ。
そう思う反面、今この場に他の人はいないと弁明している自分がいた。
〜 F i n 〜