『エンディング』
1
「お兄ちゃん、なんか最近登校する人の数が減ってる気がしない?」
「ああ、オレ達3年はほぼ進路も決まってるしな」
「あっ、そっか」
頭がよくて可愛いゆたかはオレの言葉で事情が分かったらしく、納得の声を出す。
3年生は卒業まで自由登校になるため、この時期の登校する生徒の数は1年で1番少ない。
そのためオレの居候先の娘のこなたは、今日平日にも関わらず新作ゲームを買いに朝早く出かけていった。
オレも自由登校とかだったら行かないタイプの人間だったが、未だに無欠勤を保っている。
その理由は簡単だ。
「お姉ちゃんもお兄ちゃんも卒業しちゃうんだね………」
「ああ、こうやってゆたかと登校できるのも今日までだな」
高校を卒業すると皆バラバラになっていく、進学する者、就職する者、今まで会っていたやつとも会うのも難しくなる。
だから会える時に会ってできるだけ話をしておきたいからオレは毎日登校している。
思えば不思議な話だ。こっちの世界にきた当初のオレではそんな感情も生まれなかっただろう。
あいつ達によって変えられてしまった…もちろんそれは心地の良い変化ではあるけど。
「じゃあ、お兄ちゃんここで」
「おう、また帰りな」
そんなことを考えていると、オレとゆたかが別れる靴箱に着いた。
オレはゆたかと言葉交わすと自分の靴箱に向かい、そこを開けた。