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 ……そっか、これだったのね………。



 シンの言葉を聞いて私の疑問は氷解した。

 今まで私とシンは喧嘩ばかりしてきた。

 でもそれは嫌いだから喧嘩してたわけじゃない。

 自分の事を知ってほしいから

 怒っても相手なら分かってくれるから

 そう思ってやってきた。



 振り返ればそれが出来たから私はライバル達との争いに勝てたのかもしれない。

 お互いにぶつかって、分かり合う。

 それが私とシンの関係だったはずなのに。



「……全くだな」

 シンもその事が分かったのだろう。苦笑を浮かべる。

「付き合ったからって、変に構える必要なんてないのにね」

 私もつられて苦笑。自分達本来のやり取りを忘れるなんて、色ボケしてるのも甚だしい。

「……なあ、かがみ…オレ達、まだ間に合うよな?」

 恐る恐る尋ねてくるシン。

 ……ほんとに。いつもどうでもいい事には自信満々なのに、なんでこういう時は弱気になるのかしらね、こいつは。

「当たり前でしょ? あんたさっき言ってたじゃない、また半分も経ってないって」

「あ、ああ」

 そこで、ようやくシンは優しい笑顔を見せる。それは私が見たかった笑顔。

 やっと今日見れた………。



「じゃあ、行くか」

「うん!」

 差し出されるシンの手を私はなんのためらいもなく握る。

 あれ? 以外と簡単…思ったより恥ずかしくない…というより、嬉しい気持ちでいっぱい………。

 このままだと、気付いたら………。

「ダメダメ! キスは三回目以降なんだから………」

 私は小さく首を振る。気をしっかり持て柊かがみ! 物事には順序が――

「ん? なんか言ったか?」

 シンが不思議そうな顔で私を見てくる…この赤い瞳で見られると自制心が奪われていく錯覚に囚われる。

 はぁ〜私耐えられるのかしら………?

「なんでもないわよ」

 私は今日初めて心から笑って、シンの方を見た。





〜 F i n 〜   







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