『初デート』
1
「うーん………」
「まだ考えてるの? ていうか自分の部屋でやってくれない? 気が散るんだけど」
ゲームしながらオレに文句を言うこなた。
オレの方を振り向きつつ、格闘ゲームのコンボをキチンと決めてるのだから、最早それは神技といえる。
「オレ1人で決められるわけないだろ?」
「威張らないでくれる?」
オレは今かがみとのデートプランを考えているのだか、これが明日だというのに、全く決まっていない。
そこでこなたにアドバイスを貰おうと頼んでるんだけど………。
「お父さんに聞いたらいいじゃん。ああみえてお母さんを落とした強者なんだし」
「聞いたさ。問答無用で押し倒せだってさ。
お前はオレがかがみを泣かしていいと思ってるのか?」
嬉し泣きならともかく、オレはかがみにそんな涙は1デシリットルだって流させたくはない。
まあ、付き合う前には散々涙を流させてしまったが………。
「まさか」
そう言ってから、こなたは対戦相手をK.O.してから曰く。
「そんなことしたら、シンのデスティニー戦隊は原作すら真っ青な大破程度ではすまない形になるし、
つかさには泣いてシンを責める言葉を言ってもらうし
みゆきさんにシンの辞世の句を聞いてもらうから」
「それは、それは美しい友情で」
聞くだけでも冷や汗が吹き出す光景だが、オレはそんな感じを微塵も出さず肩をすくめて見せる。
なんか歯がカチカチなる音がしてるが気のせいのはずだ。
「だから、お前に頼んでるんだろ?」
ちなみに、泉家のもう1人の住人であるゆたかにも聞いたのだが、
余りにロマンティック過ぎてオレとかがみが撃沈するとオレが判断したためあえなくボツとなった。
「だったらかがみと仲良く決めたらいいじゃん」
「あっちは彼氏出来た事ないんだぞ。オレがリードした方がいいだろ?」
散々女心が分からんだの、フラグブレイカーだの不名誉なことを言われてるが、オレにも元の世界では彼女がいた。
だから経験者のオレが今回のプランを考えるのも買って出たのだ。
「じゃあ、簡単に決めれるでしょ?」
「お前、オレ達がデートしてる余裕があったと思うか?」
「そういえばそんな描写なかったけど、やっぱりしなかったんだ。じゃあ頑張ってね」
「待て、おい!!」
興味を失ったらしく、こなたは完全にゲームに戻っていく。
「分かったよ! 誰がアンタに頼むもんか!!」
オレは得意の逆ギレの咆哮を上げると、自分の部屋に戻る。
待ってろよかがみ、オレが必ず楽しいデートにしてみせるからな!