「な、な、な、なにそれー!?」

 晩ご飯が終わってつかさに話があると言われて、部屋で話されたものは私にとっては驚愕の事実だった。

「で、でも、大丈夫だよ、わたしもそんなに話ししてないから、じ、時間にすると五分くらい」

 つかさがしどろもどろに答えるが、私が怒ってるのはそこではない。

 きっとつかさのことだから、不自然な様子で私を起こそうとしたのだろう。

 それでも私が寝入ってしまったのだから、それは私が悪い。



 問題はそこではない



「話ししたのよね、シンと?」

「うん」

「壁越しとかじゃなくて?」

「うん」

「私を膝においたままで?」

「うん」

「そしてシンは私を見た」

「うん、かわいいって」

 わりかしたっぷり仮眠は取ったはずなのに、意識が飛びそうになるのはどういうことだろうか

 いや、分かってる

 単に答えにたどりつくのが嫌なだけ



「よかったね、お姉ちゃん!」

「よくなーいぃぃぃぃぃ!!!」

 つかさのとどめの言葉に私は枕を抱え込む。

 そう、私は見られたのだ。

 生きている中で最も無防備な姿といわれる寝顔をあいつに! 想いを抱いてる男子に!!

「もう、学校に行けないー!! どんな顔であいつと挨拶交わすのよ!?」

 絶対に気まずい! あいつはなんとも思ってないだろうけど、こっちは滅茶苦茶気まずい!!

「もーなんで私は寝入ったのよ!?」

「ごめんね、お姉ちゃん………」

「いや、つかさが悪いわけじゃないし………」

「でもわたしが起こしておけば………」

 一応恋のライバルなのに、そこまで私のことで気を遣うつかさはほんとにいい子すぎる。

 でもそんなつかさがいてくれるから、私は少しだけ冷静に戻れる。

 私のせいでつかさに迷惑かけれないもんね



 寝顔を見られたのは不幸中の幸いだ

 万が一途中で起きようものなら、確実に失態を晒していた。

 それにあいつの言葉を聞くと、マイナスイメージにはなってない。

 だから問題は私が明日平常心であいつに接することができるかどうか!

 それが一番難しい。結局今日も遅く寝ることになりそうだ。

 ならせめて



「ねえつかさ」

「なーに」

「シンの言った言葉って、私だけじゃなくつかさにも言ったんじゃないの?」

「え、どういうこと?」

「つまり、私達両方のこと、もっと知りたい、要は興味があるってことよ!」

「えー!? それって」

「まあ男としては最低発言だけど、悪い気はしなくない?」

「うん、うん!」

 頬を上気させ、何度もこくこくと頷くつかさ。

 これで今日はつかさも興奮してなかなか寝付けないはず

 気付かないなら、気付かせる! 自分だけ枕を高くしようたってそうはいかない!

 私はあんたほど、人が良くない!



 だから今日のあいつ語りには付き合ってもらわないと!





〜 f i n 〜   






戻る        別の日常を見る