『二人と1人』
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「う〜ん」
私は境内で大きく伸びをする。
周りをぐるりと見渡すと葉が散っていたり、紅葉になっていたり完全に秋の色。
早朝ということもあるけどだいぶ涼しくなってきた。
これなら受験勉強もはかどるってものである。
「じゃあお姉ちゃん、わたしお掃除行ってくるね」
「うんお願い」
私は社務所に、つかさは鳥居の方へと逆方向に歩いて行く。
私達が家の手伝いである、巫女をする時の決まっている役割分担。
いつからか、は覚えてないけど自然にそうなっていた。
まあつかさは掃除も得意だから問題ないけど。
当初、私は受験生ということで免除という話も出ていたのだが、つかさにだけ手伝いをやらせるわけにはいかないし、
息抜きにもなる、と主張してすることになったのだが………
「ふあ〜あ」
昨日、少し詰まった問題を基本から見直したので少し寝不足である。
しかも神社の朝は早い。幸いこれといった行事がないのはいいけど、日曜日だから参拝者はそこそこにくる。
しかし大見得をきった以上はやるしかない!
「ふあ〜あ」
私は強い決意と共に大あくびをしたのだった。