『2人の誕生日』
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「シ〜ン、もう決めた?」
隣でこなたがゲームをしながらオレに聞いてくる。
「いや、まだ決めてない」
なんの話かというと、すぐ近くに迫っているオレとこなたの共通の親友であるかがみ、つかさの誕生日プレゼントの事だ。
「へ〜遅いじゃん。わたしの時はすんなり決まったのにさ」
「まあな」
こなたのからかい混じりの皮肉をオレはあっさり流す。
別にオレだって何も考えていないという訳ではないのだけど………。
双子だからといって同じ物を渡すと手抜きと思われないか? とか、
それだったら2人が好きなお菓子の詰め合わせ、これはいくらなんでも安上がりすぎるだろとか。
考えれば毎回こんなルーチンに行き着くから、未だにプレゼントを決めれていない状況だ。
「ねえシン、わたしに提案があるんだけど………」
「ん?」
こなたがゲームする手を止め、こっちを見てくる。
「……うーん、それは面白そうな気がするけど、2人はそれで喜ぶのか?」
こなたの提案にオレは腕を組む。
大事なのはウケを狙う事じゃなくて、2人が喜ぶ事、そうでなければ意味がない。
「だいじょーぶ! きっと喜ぶって」
「根拠は?」
「シンがプレゼントするから♪」
前にも似たような事を言われた気がする………。
オレはこなたの不敵な笑みを見ながら、デジャヴに襲われていた。