どうもひよりの様子がおかしい。

 こなたのオタク話にも余りのってこないし、オレと目を合わせようとしない。

 最初はネタのことを考えてるのかと思ったけど、どうやら違うらしい。



「え〜? ホントに?」

「あんなのがいいって変わってるわね〜」

「ホントだって、くさいとこがカッコいいんだよ」

「わたしは……ああいうのはだめかな」

「わたしも苦手です。本当に人それぞれですね〜」

「オレだけか? おっかしいな」

「…あ、あの……アスカ先輩?」

 話が1対4でオレの不利が確定したところに、ようやくひよりがオレに会話に参加してくる。

「なんだ?」

「あ、あの、……アスカ先輩と…泉先輩って…つ、付き合ってるんですか?」

 ブゥゥゥゥッ!

 オレは勢いよく、飲んでいたお茶を逆噴射させる(勿論、誰にもかけていない)。

柊姉妹とみゆきは石化しちまったし、さすがのこなたも目を見開いて驚いてる。



「あ、アンタ! 何言うだぁー!」

 1番先に我に帰ったオレがひよりに食ってかかる

「い、いや、だ、だってさっき、泉先輩がアスカ先輩とラブ×2って………」

「ア、 アレはこ……………!!」

「どういうことか説明してもらおうかしら〜」

「バルサミコ酢〜」

「はい、できれば詳しく」

 戦場でも感じたことない殺気にオレの体は自然と震える。

 ていうかなんでこいつらはこんなに怒ってるんだ?

 いや、そんなことよりもまずは自分の命を最優先だ。

「ま、待てお前ら! 大体なんでお前らが怒るんだよ!?」

「……ま、周りに見せびらかしてることに怒ってるに決まってるじゃない!!」

「あ、あれはこ、こなたのた、たちの悪い冗談だって!!

 大体さっきからずっと見てただろ! オレとこなたが恋人みたいにしてたかよ!」



 互いを見合う3人。



 …………



 そしてしばしの沈黙。

「……まあ確かに。あんたがそんなことしたら諦めもつくんだけどねぇ〜」

「でも、そんなシンちゃん見たくないな〜」

「痛し痒しというやつですね」

 そんなわけのわからん言葉を交わしながら苦笑を浮かべる3人。

 どうやら、場を切り抜けオレの命は永らえたみたいだ



「……すみません、アスカ先輩。自分の早とちりでご迷惑かけちゃって……」

「いいって、元々あいつが悪いんだし……!」

 ひよりを慰めようとした時、オレの視界に机に突っ伏したこなたが入った。

 ………あの3人にやられたのだろう。もう少しで自分がああなってたかもしれないと思うとゾッとする。

「アスカ先輩?」

「い、いや、気にするな。オレは気にしない」

 オレは親友の声色の真似をしてその場を取り繕った。



「………そういえばシ〜ン?」

「なんだよ?」

「この前から言ってたデスティニー見つかったの?」

 復活したこなたがオレに話題を振る、この空気を一刻も早く変えたいのはこなたも同じらしい。



「いや、近所のプラモ屋には残らず行ったんだけど、ないんだよな〜」

「それって、シンちゃんの乗ってたロボットだよね? この前デパートでみたよ?」

「つかさが見たやつは通常版。オレが欲しいのは、限定版なんだよ」

「こなたに似て来たなあんたも」

「そうは言うけどな、限定版には光のつばさが……」

「あ〜はいはい、分かった、分かった」

 かがみめ、オレのデスティニーの想いをあっさりと流しやがって! と歯がみしていると

「……あの〜、ワタシ見たっスよ、限定版デスティニー………」

「なにーッ!?」

 オレは思わずその声の主に顔を近付けた 。





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