4
どうもひよりの様子がおかしい。
こなたのオタク話にも余りのってこないし、オレと目を合わせようとしない。
最初はネタのことを考えてるのかと思ったけど、どうやら違うらしい。
「え〜? ホントに?」
「あんなのがいいって変わってるわね〜」
「ホントだって、くさいとこがカッコいいんだよ」
「わたしは……ああいうのはだめかな」
「わたしも苦手です。本当に人それぞれですね〜」
「オレだけか? おっかしいな」
「…あ、あの……アスカ先輩?」
話が1対4でオレの不利が確定したところに、ようやくひよりがオレに会話に参加してくる。
「なんだ?」
「あ、あの、……アスカ先輩と…泉先輩って…つ、付き合ってるんですか?」
ブゥゥゥゥッ!
オレは勢いよく、飲んでいたお茶を逆噴射させる(勿論、誰にもかけていない)。
柊姉妹とみゆきは石化しちまったし、さすがのこなたも目を見開いて驚いてる。
「あ、アンタ! 何言うだぁー!」
1番先に我に帰ったオレがひよりに食ってかかる
「い、いや、だ、だってさっき、泉先輩がアスカ先輩とラブ×2って………」
「ア、 アレはこ……………!!」
「どういうことか説明してもらおうかしら〜」
「バルサミコ酢〜」
「はい、できれば詳しく」
戦場でも感じたことない殺気にオレの体は自然と震える。
ていうかなんでこいつらはこんなに怒ってるんだ?
いや、そんなことよりもまずは自分の命を最優先だ。
「ま、待てお前ら! 大体なんでお前らが怒るんだよ!?」
「……ま、周りに見せびらかしてることに怒ってるに決まってるじゃない!!」
「あ、あれはこ、こなたのた、たちの悪い冗談だって!!
大体さっきからずっと見てただろ! オレとこなたが恋人みたいにしてたかよ!」
互いを見合う3人。
…………
そしてしばしの沈黙。
「……まあ確かに。あんたがそんなことしたら諦めもつくんだけどねぇ〜」
「でも、そんなシンちゃん見たくないな〜」
「痛し痒しというやつですね」
そんなわけのわからん言葉を交わしながら苦笑を浮かべる3人。
どうやら、場を切り抜けオレの命は永らえたみたいだ
「……すみません、アスカ先輩。自分の早とちりでご迷惑かけちゃって……」
「いいって、元々あいつが悪いんだし……!」
ひよりを慰めようとした時、オレの視界に机に突っ伏したこなたが入った。
………あの3人にやられたのだろう。もう少しで自分がああなってたかもしれないと思うとゾッとする。
「アスカ先輩?」
「い、いや、気にするな。オレは気にしない」
オレは親友の声色の真似をしてその場を取り繕った。
「………そういえばシ〜ン?」
「なんだよ?」
「この前から言ってたデスティニー見つかったの?」
復活したこなたがオレに話題を振る、この空気を一刻も早く変えたいのはこなたも同じらしい。
「いや、近所のプラモ屋には残らず行ったんだけど、ないんだよな〜」
「それって、シンちゃんの乗ってたロボットだよね? この前デパートでみたよ?」
「つかさが見たやつは通常版。オレが欲しいのは、限定版なんだよ」
「こなたに似て来たなあんたも」
「そうは言うけどな、限定版には光のつばさが……」
「あ〜はいはい、分かった、分かった」
かがみめ、オレのデスティニーの想いをあっさりと流しやがって! と歯がみしていると
「……あの〜、ワタシ見たっスよ、限定版デスティニー………」
「なにーッ!?」
オレは思わずその声の主に顔を近付けた 。