『First contact』 〜腐女子〜
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「ひよりん………、没」
「ま、またっスかー!?」
ワタシはもう何度目か分からない没をもらい、もう何度目か分からない悲鳴を上げる。
「没の理由聞きたい?」
「ま、まあ、一応………」
何が嬉しいのか、我がアニ研部部長の八坂こうこと、こうちゃん先輩がにやにやしながら尋ねてくる。
「男キャラがどれも一緒。作りも性格も全部!」
ぐっはぁー! ひ、人が気にしてることをあっさりと、鬼だ! この人は鬼子だ!!
「女性キャラはだいぶメリハリが付いてきてるんだけどね〜」
「いや〜それは身近にいいモデルがいますから」
ワタシはクラスメートの二人の顔を思い浮かべ、心の中で二人に謝る。
「じゃあいないの? 男子のモデルは?」
「はあ、まあ、残念ながら………」
こうちゃん先輩の質問にワタシは頬を掻く。
そもそもワタシ、クラスで男子と話してないですからー!!
「あっ、私なんか不味い事聞いた?」
「あっ、いやー改めて自分が健全な女子高生やってないなーと思いまして………」
「いやいやひよりんは良くやってるよ健全かどうかは置いといてね♪」
「…………」
「まあこういうのは数をこなしていったら慣れてくるって、後は観察をよくする! ずばりこれだね!」
「はあ、観察ですか………」
人間観察してキャラ作りに生かすというのはよく聞く話だけど、ワタシにはどうしたらいいのかいまいち分からないんっスよね〜
「よーし、それじゃあマックで私の観察法をひよりんに伝授してあげよう!」
頭を傾けてるワタシを見兼ねたのか、こうちゃん先輩が提案してくる。
「ほ、ほんとっスか!? お願いしますっス!」
「まっかせなさーい! 代わりにお代はいつもと違ってワリカンね♪ 今月は厳しいんだよ」
そう言ってこうちゃん先輩はウインクをしてみせた。