『やりがい』





 ようやっとの朝の職員会議が終わる。

 今が今の時期やから会議の内容は生徒の進路状況について、やから片時も気が抜けへん



「はあ〜」

 せやから終わったらため息の一つもでるってもんや



「黒井先生お疲れですか?」

「まあこの時期は。ストレス解消もなかなかできませんし」

 ネトゲは性質上、夜遅くやからほとんどできひんし、野球はキャンプインしたとはいえ、

わがマリーンズのニュース情報なんて、たった数秒程度。

「栗さん、栗さんって同じ球団ばっかクローズアップすんなや!」

「なんか過程は分かりませんが、気持ちは分かります」

 そして桜庭先生はいつも以上に怠そうな顔になった。



「学生の時は早く大人になりたいと思ってたのに、働き出したら趣味の時間なんてほとんどない」

「休日は寝て過ごしてそれでおしまい」

『はぁ〜』

 最後は二人でため息。

 こんなことなら学生時代もっと遊んでおけばよかったと思いつつ、今の自分の趣味が金掛かるから

結局当時そんなにできんかったやろうな。

 人生上手いこといっとるというかなんというか、と妙な達観しだしたのも自分が年を取った証拠か。



「取りあえず教室に行きましょうか」

「そうですな、生徒達の前ではこんな顔したらあかんな」

「ですな」

 大人になったら、八つ当たりの様に周りに当たるのも難しゅうなった。

 しかも教師となれば、生徒に当たるなんてことはしたらあかん。



 ほんまに教師ってやつはめんどい





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