『つかの間の復活』





「あっもうこんな時間だ」

「うわっ! ホントだ」

 わたしの時計を見ての発言にかがみも自分の携帯を見て答える。

 ちなみに現在八時を越えて、日はもうとっくに沈んでる。

「かがみ、送ってくぞ」

「別にいいよシン」

 お家芸のフラグメークさせるために立ち上がりかける、シンをわたしが止める。



「なんでだよ? かがみ1人で帰らせるのは危ないだろ、襲う方が」

「そっちの心配か!?」

「当たり前だろ」

 かがみのツッコミにわざとらしく大まじめな顔で頷くシン。

 もっとも本心ではかがみのことを心配してるのはわたしもかがみも分かっている。だからこそわたしは面白くないし、かがみは嬉しそうだ。

 だが今日に限ってはわたしもかがみもこの感情は無駄に終わる。



「今日はかがみは家に泊まるんだよ」

「明日はあんた達と秋葉原に行くのよ。私もそっちに用事があってね」

「あっ、そういう事か」

 わたしとかがみの言葉にシンが納得の声を上げる。

 かがみが一緒にアキバについてくることによってシンと二人っきりではなくなったし、今日はシンのところに添い寝も行けない。

 ただ、親友兼恋敵と夜通しで話すのも悪くない。

「そういう事よ。だから今日はこなたの部屋に入る時はノックしなさいよ」

 かがみも同じ事を思っているらしくわたしの方を向いて笑顔を見せる。



「女同士の会話をわざわざ邪魔しに行くかよ」

「お〜シンにしては空気の読めた発言〜」

 わたしの茶々にシンは嫌そうな顔でこっちを見る。

「お前なーオレだって似たような経験あるしな。男同士で会話してる時に女が入って来たら話しにくい時があったしな」

「あっ、ごめん。そうだったんだ………」

「ち、違う、違う!ここじゃなくて、あっちの世界の時の話だ」

 かがみの言葉にシンは慌てて手を横に振る。

「あっちの世界の…レイ?」

「ああ」



 少し前までこの名前はわたしとシンの2人の時しか出せなかったけど、

最近かがみもシンの過去を知ったため、わたしはためらわずにその名前を口にする。

「といってもレイは無口だったし、オレもあん時は色々あったしな…あんまりじっくりと話す事はなかったけどな。

 今だったらオレとあいつはは何話すんだろな」

 そう言って感慨深気な顔で天井を見上げるシン。



「悪いな、変な事話した。オレ晩飯の手伝いしてくるよ」

 バツが悪そうにシンは階段を降りっていった。その顔には昔の話をしたからかテレが少し出ていた。

 ちょっと萌える



「ずるいわよね〜」

 かがみの溜め息混じりの言葉に私も頷く。

「ホントだよ。あんな顔されたら抱きしめて上げたくなるじゃん」

『二人っきりなら』

 そう言って私達は笑い合った。





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