『エンディング』
1
寝付けない夜。
そんなのは家族を失った日からしょっちゅうだ
でも珍しい、ここ最近では
「緊張してんのか?」
柄にもないとは思うけど、無理もないとも思う。
卒業式、そんなものは経験済みだ。
でもこんだけ楽しみで待ち遠しい心でその日を迎えるのは初めてだ。
下のキッチンで水をコップに注ぐ。
最初は迷ってばかりの家ももう慣れた。
そしてここの住人にも
水を1口、口に含む。
住人だけじゃない。
それ以外にもできた、大切な人達。
もう2度とそんなのは、できるはずがないと思ってたのに
オレにとって本当に必要なことを教えてくれたこの世界。
望むものがある世界。
でも、だからこそ、オレは………
その時、気配に気付く。
振り返ると、そこにいたのはこの家の主、そうじろうさんだった。