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「ちょっと不思議に思ったんだけどな」
「ふむ?」
こなたはパソコンから振り向かずに答える。
やってることは勉強、ではなく当然ネトゲである。
「お前は昼間怖くなかったのか?」
シンからすればこなたはいつもと変わらない様子だった。
いくらこなたが緩い性格とはいっても、そこは女の子、少しくらいは怖がってもいいはずである。
現にシンが心の強さを認めているかがみ、みゆき、つかさの三人は恐怖に震えていた。
「あ〜あ、あれだよ、みんながパニくったら冷静になるってやつ」
「ああなるほど」
シンは思わず手をぽんっと叩く。そしてこなたがいつもよりもタイプミスをしていることとに気付かない。
「用ってそんだけ?」
「ああ、いや……、昼間はお前がいて助かった、ありがとな」
「ん」
「おやすみ」
「おやすみ〜」
扉を閉めて出て行くシンには、こなたが意味不明な文字の羅列を作っているのに気付かない。
自分が冷静でいられたのはシンが近くにいると知っていたから
そしてこの場合のシンがとても頼りになることを知っているから
「ううっ、キャラじゃないのに………」
こなたはどうにかこうにかパソコンの電源を落とす。
黒くなったモニターに映っている、色の付いていない自分を見ることすら恥ずかしい。
「はぁ」
机に顎を乗せ力尽きるこなた。
力を取られたにも関わらず、眠気は全く起きない。
時間はいつものこなたの就寝時間より、ちょっと早いくらいでしかない。
「はぁ」
こなたは眠るのを諦め余韻に浸ることにした。
そして気付いたら心地よい夢を見ている、多分きっとそうなるだろう。
そして他の少女達も。
〜 f i n 〜