「後はやっぱりもう一つの華、ご飯かな」

「ということは食べる準備か」



「それとシートを敷いて座るのが一般的だから、何枚か持っていくといいよ」

「はい」



「一番重要だけど、後は時間だな」

「時間」

「女の子ばっかりだし、遅くなりすぎないようにしないと、なんなら昼くらいでもいい」

「なるほど」



「後、お酒はダメだからな」

「えっ?」

「……いやまあ、外だしね」



 とあれこれとレクチャーを受けたんだけど

 時間が足りない気がメチャクチャするんだけど………

「まあやるしかないか」

「ははっ、失敗してもいいじゃないか」

 メモを閉じて、ややブルーになってるオレをそうじろうさんが笑い飛ばす。

 意味が分からないオレはそうじろうさんを見上げる。そしてそうじろうさんは相変わらずは嬉しそうな笑みを浮かべる。



「それもまた思い出になるんだよ、自分が想ってる人となら尚更ね」

 そうじろうさんの言ってることは分かる。

 ただオレとそうじろうさんとでは思い出の種類が違う。

 家族を失ったというのは同じなはずなのに

 オレはまだそこまで辿り着けていない

 オレはまだ囚われているんだろう



「まあ中二タイムはこれくらいにして、そろそろ寝るか」

「はい、お休みなさい」



「シン君」



 ドアを閉めようとしたオレをそうじろうさんが止める。

「狼になれよ! ただしこなたはダメだぞ!」

「何を言ってるんですか!? あなたは!」

 親指を立てるそうじろうさんに小さく怒鳴ってオレはドアを完全に閉める。



 やっぱりこなたはそうじろうさんの娘だ、絶対





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