『決意』





「それじゃあみんな、酒は行き渡ったかな?」

 家の主を差し置いてこなたが一同に尋ねると、家の主、シン・アスカをはじめ、

つかさ、かがみ、みゆきがそれぞれグラスを小さく掲げる。

 それを見てこなたは満足そうに頷き



「成人式、無事しゅうりょ〜」

『かんぱ〜い!』

 音頭としては今イチ分かりづらいこなたの言葉にも、戸惑う様子も見せずに合わせる四人。

 そして五人は特に何も言わずに、各々の役に付く。



「はい、こちらがポン酢、こちらがゴマだれです」

「うん、もうお鍋いいと思うよ」

「じゃあ開けるぞ」

「かがみん、臨戦態勢に入りました〜」

「うっさい、鍋は戦場よ!」



 成人式が終わり、再度シンの家で集まっての飲み会。

 男一人に器量よしの女四人、さぞかし羨ましがられる光景ではあるが、残念ながらシンはそれ程に気にしてる様子はない。

 とはいえシンがこの女の子達、蔑ろにしているというわけではない。

 むしろ逆。



「お前達飲み過ぎるなよ

 お酒あんまり飲んだことないんだろ」

 大切にしすぎている。

 それがこなた達にとって嬉しくもあり、歯がゆくもある。

 その為か未だシンとの関係は親友以上恋人未満だし、四人の関係は親友兼恋敵が続いている。

 そんな関係に不満がないといえば嘘になる。



「みんな〜酔いつぶれたらシンが襲うって」

「なっ!?」

「シンちゃん、スケベ〜」

「さいてー」

「ちょっ!?」

「仕方ありません、シンさんも成人の男性ですから」

「フォローになってないから!」



 でも今の関係はとても心地よい、それは五人の誰もが思うとこ。





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