『決意』
1
「それじゃあみんな、酒は行き渡ったかな?」
家の主を差し置いてこなたが一同に尋ねると、家の主、シン・アスカをはじめ、
つかさ、かがみ、みゆきがそれぞれグラスを小さく掲げる。
それを見てこなたは満足そうに頷き
「成人式、無事しゅうりょ〜」
『かんぱ〜い!』
音頭としては今イチ分かりづらいこなたの言葉にも、戸惑う様子も見せずに合わせる四人。
そして五人は特に何も言わずに、各々の役に付く。
「はい、こちらがポン酢、こちらがゴマだれです」
「うん、もうお鍋いいと思うよ」
「じゃあ開けるぞ」
「かがみん、臨戦態勢に入りました〜」
「うっさい、鍋は戦場よ!」
成人式が終わり、再度シンの家で集まっての飲み会。
男一人に器量よしの女四人、さぞかし羨ましがられる光景ではあるが、残念ながらシンはそれ程に気にしてる様子はない。
とはいえシンがこの女の子達、蔑ろにしているというわけではない。
むしろ逆。
「お前達飲み過ぎるなよ
お酒あんまり飲んだことないんだろ」
大切にしすぎている。
それがこなた達にとって嬉しくもあり、歯がゆくもある。
その為か未だシンとの関係は親友以上恋人未満だし、四人の関係は親友兼恋敵が続いている。
そんな関係に不満がないといえば嘘になる。
「みんな〜酔いつぶれたらシンが襲うって」
「なっ!?」
「シンちゃん、スケベ〜」
「さいてー」
「ちょっ!?」
「仕方ありません、シンさんも成人の男性ですから」
「フォローになってないから!」
でも今の関係はとても心地よい、それは五人の誰もが思うとこ。