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とはいっても、それで騙せるほどわたしは単純ではないのである。
「えっ、アスカ君を?」
「どう思うか?」
体育の授業、わたしはクラスの女子にシンのことを尋ねて回った。
まさか、クラス女子完全制覇、とまではいかないだろうけど、何人かとはフラグを建てている可能性はある。
敵になるならば、まずは敵を知る。
昔のえろい人もそう言っている!
「顔はまあね〜でもないなー」
おや?
「ちょっとしたことで怒るしね、案外子供っぽいし」
あれ?
「から回ってる感じも多いしね」
…………。
思った以上にフラグが立ってない。
シンに魅力がないのか、それともわたしが思ってる以上に皆がシンと関わっていないのか………
「それにもう相手いるしね」
「だ、だれ!?」
嬉しくない新情報キタッー!
「泉さん」
「へっ?」
「あと、高良さんと柊姉妹」
「はっ?」
「とぼけてもむだむだ。あなたたちがアスカ君に気があるのは分かってるわよ」
「そう、当人達以外」
「うそ!?」
これは意外な展開。
ていうか、すっごく恥ずかしすぎる。
逃げなければ
しかし一瞬の羞恥が命取りになっていた。
「ねえねえ、誰が一番脈があるの?」
「ていうか普段気まずくならない?」
「具体的に、好きなところは!」
いつのまにか全周囲がエネミーに囲まれていた。
脱出は不可能。
今なら分かる、マスコミの怖さ。
自分がこれほどまでにいらないことをしたと思ったことはない!!
遠くでシンが走りながら不思議そうにこっちを見ていた。
〜 f i n 〜