『大切な人、守りたい人』
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「ルンルンルン♪ デート♪ デート♪」
「はいはい、デートじゃないわよ」
今日着ていく服を、どこまでも飛んで行きそうな様子で選ぶつかさを嗜める。
するとつかさは不思議そうにこっちを見てくる。
「えっ違うの?」
「あんた、私の存在を忘れてない?」
これまた今日着ていく服を選んでいる自分を指す。
確かに好意を向けている男子と二人っきりで出かければ、デートとしては成立するのだが、
今日は私とつかさとあいつとで中間テストの打ち上げを兼ねて買い物に出かけるのだ。
デートとは違う、はず。
「だってわたしもお姉ちゃんもシンちゃんのこと好きなのに?」
「いや、そうなんだけど………」
「そういうのWデートって言うんじゃないの?」
「…………」
違う、と反論が出来るほど私はこの和製英語の定義を分かっていない。恋愛経験が圧倒的に足りないから。
「じゃ、じゃあ、ここにこなたとみゆきが加わったとしたら、デートって言うの?」
でもこのままつかさに言い負かされるのは少し悔しい。
だから私はなんとか反撃を試みる。
「う〜んと、そん時は………、フォースデート、じゃない?」
笑顔で返すつかさ。
今のつかさの前ではあいつと一緒に買い物に行く、その行為の前ではどんな事でも些細な事なんだろう。
もっとも
「ふ〜ん、なるほど。そういう考え方も出来るわね」
それは私も同じなのだけれど