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「面白かったね!」
「……うん………」
結局映画はオレもみなみもゆたかの意見を尊重してラブロマンスものを見るはめになった。
「甘すぎだろ………」
女はどうしてあんなものを見て平気なんだ? 甘かったらなんでも別腹か?
「さて、次は買い物か?」
「うん! 行こ! お兄ちゃん! みなみちゃん!」
ぐったりしてるオレとは逆に、元気なゆたかがオレとみなみの手を繋ぎ、ゆたかを真ん中にオレ達は歩く。
道行く人がちらっとこっちを見てくる。男1人に女の子が2人は確かに変わった組み合わせだ。
3人兄妹? 友達同士? 一体オレ達はどんな風に見られてんだか。
オレは思わず苦笑を浮かべた。
「ここだよ。お兄ちゃんは外で待っててね」
「えっ、なんで入ったらダメなんだよ?」
「……禁則事項です………」
それだけ言うと2人は店の中に入っていった。
別に見た目は女の子専用の店というわけじゃないけどな…中は違うのか?
なんにせよ置いてきぼりを食ったオレはただ2人を待つしかなかった。
「……お待たせしました………」
ゆたかとみなみが出てきたのは、オレが素数を数えて5ケタ目に到達しようとするところだった。
「何を買ったんだ?」
「えへへ、内緒」
「……ゆたか、そろそろ時間が………」
「あっ! ホントだー!」
「何が時間なんだ?」
「……先輩急ぎましょう………」
オレの質問に答える事なく、2人はオレの手を掴むとテクテクと歩き出した。