『Happy Birthday』





「よりによってオレの誕生日が始業式かよ」

 これほど世の中の学生から祝われない誕生日も少なくないだろう。オレも恨めしげにカレンダーを見てしまう。

 まあこなたと違ってオレは宿題をやってるんだし…そう言えば、日本史の宿題やったっけ?



「……いいか」

 オレはチェックしようとするのを止めてベッドに倒れこむ。

 もし忘れてても今からやっても提出日までには出来るとは思えないし、

かがみにケーキバイキングをおごる代わりに見せてもらった方が自分でやるより時間を有意義に使えるってもんだ。



 コンコン



 オレが宿題に対する完璧なプランを建て終わった時、ドアがノックされる。

「シンお兄ちゃん」

「ゆたかか、どうした?」

「今からみなみちゃんと買い物に出かけるんだけど、お兄ちゃんもどうかな、って思って………」

「オレも一緒に行っていいのか?」

「うん! みなみちゃんも喜ぶよ!」

「じゃあ行くか」

「やったー!  わたし準備してくるね!」

 ゆたかはドア越しからでも分かるほど嬉しそうな声を出すと、自分の部屋に戻って行った。



 こうしてオレの誕生日前日であり、夏休み最後の日が始まった。





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