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「お〜話が弾んでんじゃん」

 戻ってきたこうの最初の一言目がこれだった。

 どこが会話が弾んでるというのかしら?

 まあこうの定規は人とは全然違うのは知ってるし、今更私は何も言わない。



「しかし、私の勘は当たったねーやまととシンちゃん先輩、何か相通ずるものがあると私は思ってたんだよ」

「なっ! ………」

 彼の方を見ると何やら勝ち誇った顔をしている。

 その顔が果てしなく私のはらわたを煮えくりかえさせる。

 そしてその怒りにはこうの方にも向けられる。



 こうも私の事全然分かってない!!



「行くわよこう」

「えっ? 私まだ残ってるんだけど………」

「歩きながら食べて」

 私はそう告げると立ち上がって早足で駆け出そうとして、二歩目で止まる。

「先輩はどうするんですか?」

 背を向けたまま、勘違い男に尋ねる。



 本当は誘いたくなんかない。

 一人当たりの歌う曲が少なくなるし、初対面の人とカラオケに行くなら、こうと二人でカラオケに行った方が何倍も楽しい。

 でも仕方ない。私には彼を誘う理由がある。



「あー別にオレも暇だし行ってもいいな、こういいか?」

「OKですよ! やまとも誘ってるし遠慮なくどうぞ〜」

「だ、誰も誘って――」

 振り返ると彼が目の前にいた。

 そして私を追い越してゆく。



「オレもお前の立場だったらきっとそう言うな」



 追い越しざまに彼は私だけに聞こえる様にそう言った。

 その言葉は私の闘志をさらに燃え上がらせる。



 悔しいし、ムカつく

 自分だけ分かった様な顔しておいて

 やっぱり私と彼とは違う

 そう違うのだ



 だから、絶対に違うという証拠を次の場所でこの男の前に叩きつけてやる!





〜 f i n 〜   






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