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神主のただおからもう社務所を閉めていい、というお達しが来たのは、国民的家庭アニメがそろそろ始まるくらいの時だった。
本日、つかさの掃除で綺麗になったのが効いたのか、
予想以上に参拝客が来てかがみ、つかさの両名は神社内を走り回ることになった。
「はう、疲れた〜」
居間で休む二人。今日の晩ご飯は確実に美味しいものになるだろう。
「テレビ♪テレビ♪ お姉ちゃんはなに見る?」
返事がないので振り向くつかさの目には、珍しくフネをこいでるかがみの姿。
そしてがくっとなり、かがみにしてはこれまた珍しく慌てた顔をする。
「えっ!? あ、な、なに?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にするかがみ、普通の人ならからかう場面なのだが。
「お姉ちゃん、疲れてる? 部屋で寝てきたら」
そこは双子であり、今日一緒にいたつかさ。
かがみが今日いかに自分をフォローしながら、頑張ってくれているのかはよく分かっている。
そしてかがみがどう答えるかも。
「大丈夫、大丈夫。
ここで寝たらまつり姉さんにどんな顔されるかと思ったら寝れない、寝れない」
明らかに眠たそうなかがみは手をぱたぱた。
言ってはいるもののきっと寝てしまえば、家族が心配することを分かっての強がりということをつかさは知ってる。
ただつかさからみたらやっぱり無理はしてほしくない、せめて自分の前では
つかさはかがみのすぐ近くに移動すると、正座して膝をぱんぱん。
当然、意味が分からないかがみは首を傾げる。
「じゃあ、ここで」
「ここって、膝………、まくら?」
つかさは頷き、かがみは怯む。
もう来月から高校生だ、それなのにそんな子供みたいなマネ。
しかも膝枕してくれるのは母ではない。同い年のいつも一緒の双子なのだ。
そんな恥ずかしいマネ…と思ったが、ここにいるのはつかさのみ。
お互いに恥ずかしいことなんてもう今更、見過ぎている。
「大丈夫だよ、誰かが帰ってきたらちゃんと起こすから」
つかさの言葉が最後のしがらみを外す。
本当はかがみだって眠たいのだ。
「ち、ちゃんと起こしてよ」
「うん!」
そうしてかがみは頭を傾ける。
「やっぱり結構大変だった、甘く見てた」
まつりはこれが分かってて、手伝おうとしてくれたのだ。なのに自分はひどいことを姉に言ってしまった。
そんな罪悪感を救ったのはまたしてもつかさだった。
「起きたらまつりお姉ちゃんに二人でありがとうって言おう」
「うん」
つかさの前だとかがみはいつもより素直だ。当社比一,五倍くらいに
けどどんな時のかがみでも、つかさからみたら尊敬の対象で掛け替えのない存在。
「お休み」
「お休み、お姉ちゃん」
つかさは少しだけかかっているかがみの前髪を丁寧に払う。
そして見えてくる普段の凛々しさとは違ったかがみの顔、何度も見たことがある可愛らしい女の子の顔。
つかさは愛おしげにそれをずっと見ていた。
〜 f i n 〜