『Worhles Jealousy』
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♪ はっきりして、すっきりして ♪
机の上でテンポの良い着信音を流し始めた携帯を、オレは訝しげに見る。
このパターンの相手はオレの彼女、の姉かがみだ。
だけどかがみの方から掛けてくるなんて
かがみはつかさがオレと付き合ってるのに遠慮して、伝言以外ではメールもしてこない。
理由はつかさに少しでも不安がらせたくない、ということらしい。
過剰な気がしないでもないけど、オレにも妹がいたし気持ちは少し分かるし何よりもつかさのことを心底思ってるってのは間違いない。
そんなかがみがオレに一体なんの用か?
もしかして間違いかもしれないとも思ったけど、着信音が鳴り続けているからそうじゃないらしい
「もしもし?」
『あんたねーさっさと出なさいよ!』
開口一番に文句を言ってくるかがみ。
オレ達に遠慮してるはずなのに接し方は高校の時とまるで変わらない。まあその方がオレはいいけど
「でなんの―――」
『あんた、最近つかさと会ってあげてないでしょ! どういうことよ!』
こっちが用件を聞く前にかがみが言葉を被せてくる。
その勢いはもし対面してたら、絶対に飛び掛ってくると断言できる。
確かにかがみの言う通り、つかさと会ったのはもう随分前、
この前の連休まで戻るから、かれこれ一ヶ月半ほど会っていないことになる。
『メールもあんまりしてないらしいじゃない!?』
「いや、するほどの様な事件も起きてないし」
世の中には『おはよう』から『おやすみ』までメールをするカップルもいるらしいけど、
正直そこまではする気になれない。というか面倒くさい。
『なくてもしなさい!!』
「うっ」
かがみは弁護士の勉強をしているというが、知識や経験はおいといて間違いなく勢いだけは通用するだろう。
歴戦の兵士だったオレをこんなに凄ませれるんだから。