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しかし、ま、まさかホントに誘えるとは………やってみるもんだな〜
とワタシが嬉しさとフラグ立ての感動の余韻に浸っていると
「ひよりん、なかなかやってくれるじゃないか」
ビクッ!!
後ろを振り向けば泉先輩を始めとする高スペックな面々方が…… みなさん笑ってるけど目が笑ってないっス〜!
思わず、逃げようとするも、すでに肩を泉先輩に持たれて……こ、殺される!
せめてせめて、死ぬ前にあんなことやこんなこと、あのカップリングで描きたかった………
「フラグ一つ立てたくらいで勝った気かい?」
え?
「そんなんじゃ、これから持たないわよ」
へ?
「だって、シンちゃんはフラグ・ブレイカ〜♪」
はぁ
「道は厳しいですが、お互いに頑張りましょう」
………ということは……
「ワタシ殺されないんですか!?」
「ど、どんだけ〜!?」
「殺されるって、ひよりんアニメの見過ぎだよ〜」
「というかどんな目でわたしたちを見てたんだ?」
「私たちは同じ人を好きになった、仲間です」
……同じ人を………好きに………
思わずその場に座り込む私を。
そんな私を見ている皆さんの瞳にはゲームによくある怖い目じゃなくて、とても優しい眼差し。
……スゴイ………、この人たち恋を楽しんでる………
私と違ってリアル世界の恋を楽しんでいるんだ………。でも私は………
「出来るよ」
「え?」
「オタクだったわたしも、出来たんだからひよりんにも出来るよ」
差し出される手……ワタシはおそるおそるその手を掴み立ち上がる。
「…みなさん、不束ものですが、よろしくお願いします」
パチパチパチパチ
頭を下げる私に、暖かい拍手が送られる。
照れ臭いっスけど、なんかものすごくいいっス
「さて、ひよりんが仲間に加わったことだし、我らの規定に従ってもらおうか」
「え?」
「そ。シンと出かける場合は規定により、駅前のケーキバイキングを出かけない人に奢ることになってるのよ」
「……ってことは……4人分!? む、無理、ムリっすよ! 今月は結構ヤバめ………」
『答えは聞いてない(です)!!』
そして放課後ワタシは、皆さんにケーキバイキングを奢ることに………。
リアルの恋って金がかかるんっスね〜。トホホ
〜 f i n 〜